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マイペース過ぎ 8
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俺の答えを最後に、また静かな空気に戻る二人。
ギュッと、広斗は重ねていた手で、俺の指と自分の指を絡める。
俺はドキッと、また心臓を鳴らして顔を熱くさせる。
だけど、これ以上、どうすればいいのかも分からなくて、俺はただこの静かな空気に身を任せることしか出来なかった。
そんな時、広斗は小さく笑った。
え?と思い、逸らしていた広斗との視線を、自分から絡めた。
その時の俺が見た広斗は、何かに諦めた様な表情を浮かべ、明るい印象は何も無かった。
「……涼太は、優しいから……オレの事、拒絶しないんだね」
そう言うと広斗は俺から身体を離して立ち上がると、ごめんと俺に謝った。
離れていった広斗の手が、身体に残った感触が、冷めていく自分の手が、全部重なってとても寂しいと思ってしまう。
さっきまで俺の手を握っていた広斗の手を目で追って、俺から離れていく広斗の名前を呼ぼうと口を開いた。
「……ひろ」
「もう遅いし、帰った方がいいよね。送るよ」
目を合わせず広斗にそう言われ、俺は言葉を無くす。
俯いてグッと拳を作り、深呼吸をした。
全く立ち上がろうとしない俺を、広斗は急かすこともなく、ただ無言で立ち続けていた。
そんな広斗と目を合わせようと、顔をゆっくりと上げる。
バチッと目が合うと、広斗は目に薄らと涙を浮かべて口元を優しく上げた。
「涼太、帰る準備し……」
「あのさ……」
俺は、いつも通りの関係に戻そうとしている広斗の言葉に被せるように口を開く。
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