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今日は仕事が休みで、最近行っていなかったカレー屋に寄ってみたくなった。
一人ってのも寂しいから八重島さんを誘おうと思ったんだけど、昨日やけに明るくて明日が待ち遠しいみたいな顔してたから、例の気になる人に会うんだろうと思って諦めたんだ。
予想は的中した。
カレー屋から八重島さんともう一人が出てくるところだった。
見慣れた先輩ととてつもなく綺麗な顔をした人。
目の当たりにしたことで、話で聞くよりも数倍受けたショックが大きかった。
何でその人なの?
確かに俺よりも綺麗で、細くて、守りたくなるような魅力がある人だけど。
女ならば、仕方が無いと諦めもついた。
俺じゃ、例え叶ったとしても普通のカップルにはなれない。
でも、その人だって・・・。
俺は、少なくともその人よりは前から八重島さんのことが好きだった。
素っ気なく二人は、わかれていった。
八重島さんが見つめている先の男は、振り向きもせずに足早に去っていく。
男というよりも少年に近い。
この状況からするに、八重島さんの片想いなのかもしれない。
ひとしきり、頭の中で整理して気持ちを落ち着かせる。
これならば、まだ大丈夫かもしれない。
何とか平静を装って、話しかけてみる。
驚いたような顔をされた。
「休みの日にまで会うなんて、奇遇ですね。
俺が教えた店に八重島さんが一人で来るなんて珍しい」
「ああ・・・そうだな」
何も知らない、見ていない振りをする。
これが、きっと最善策だから。
「このまま、飲みにでも行きませんか?
まだ昼過ぎて間もないですけど」
「えっ、うん。そうだな」
鈍い八重島さんには、俺の気持ちは届かない。
無理やり伝えたいとも思わないけど。
このままでいい。
俺が一番近くにいられるのなら。
多くは望まないから、せめてこれくらいは許して欲しい。
邪魔だてするものは、俺の敵だ。
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