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「なんで⋯」
どうして祐介さんがここに。
そう言おうとしたのに、後の言葉がでてこなかった。
じりじりとこちらに近づいてくるその客の放つ雰囲気が狂気をおびている。
ああ、この目を僕は知っている。
思い出したくない過去と重なる光景に、カタカタと体が震え始める。
「そんなに怖がらなくていいよ」
一歩ずつ、徐々に近づいてくる。
息が詰まって、呼吸がしにくくなっているような気がする。
「嫌だ、来ないでっ」
弱々しく掠れた声では相手を怯ますどころか、興奮をかきたてる材料にしかならない。
自分の無力さに苛立ちを覚えながら、尚も体は拒否反応を起こし続ける。
この客にここを教えたのは、蓮夜だ。
頭の隅で冷静に分析する自分がいることに驚きつつ、確実な答えが浮かぶ。
僕にこの場所を与えたのは蓮夜で、彼以外ここに僕が住んでいることを知らない。
でも、何故。
理由がわからない。
「今日はさ、真冬を迎えに来たんだ」
遂に目の前にやってきた男が手を伸ばして僕の頭に触れる。
撫でるように頬を触るその手に、嫌悪感がつのる。
言っている言葉の意味がわからない。
「ンッ!!」
撫でている手しか見ておらず、気づいた瞬間ツンとした痛みが腕に走ったかと思うと、僕の意識は遠のいていった。
これは父と同じ目だと、消えかけの意識の中でそんなことを思った。
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