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ぱちり
開いた目に真っ先にとびこんでくるのは白。
窓から差し込む光が壁一面の白に反射している。
眩しい。
目を細めながら起きあがると、殺風景な部屋の中にいることがわかった。
天井も壁も白くて、フローリングの焦げ茶が目立つ。
家具はベッドとシンプルな棚のみ。
ぼんやりして動きの鈍い頭で考える。
昨日の出来事がまざまざと浮かび上がってきて、思い出さなければよかったと後悔した。
情緒不安定だからか、胸の中で何かがつっかえている感じがする。
いつまでもボケっとしている訳にもいかないから
立ち上がって、部屋を出るために歩きだした。
ベッドの軋んだ音が耳障りだ。
そのまま廊下にでて、物音のしている方向へと進んでいく。
ちらと反対方向の玄関を見たが、逃げようにも着ているものがシャツ一枚という状況だ。
ぶかぶかのシャツ以外は何も履いていない。
それでも、暖房がきいているのか寒くはない。
「起きてたんだね」
リビングらしき場所に入ると隣のキッチンから声がした。
コーヒーを僕に差し出してたっている祐介は、はじめから僕が起きていたことに気づいていたようだ。
逃げないか監視でもしていたのだろう。
下手に行動しなくてよかったと内心胸を撫で下ろす。
「ごめんね。
朝食、今作ってるから。
その辺、すきに座っておいて」
礼を言ってカップを受け取ると、されたのは食事の話。
ここに連れてきた理由とか目的とか他に伝えるべきことがあるだろうに。
それに起きたてでは、食べようにも食欲がわかない。
ただ、それ以上に祐介がまともな生活を送っていることに驚きを隠せなかった。
痛くなってきた頭をおさえながら一口、コーヒーを啜ってみる。
口全体に苦味が広がってコーヒー豆の風味が鼻をぬける。
美味しいんだろうけれど、あまりそうは思わなかった。
この前に食したものが、八重島と食べたカレーだったのだと思い出したからなのだろうか。
色々考えていると訳が分からなくなる。
しばらくすると、トーストとサラダを持って祐介がやってきた。
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