アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
43
-
バクバクと、鼓動の音がやけに煩い。
身体が火照って、息が苦しい。
外気に触れればおさまるだろうと思っていたが、予想に反して生暖かい風が更に寒気を悪化させる結果となった。
目元も熱ければ、足元も覚束無い。
気づけば、季節は冬から春に移りはじめていた。
置いてきたコートも必要なかったようだ。
周りから遮断された日々を過ごしたことで、世界からおいてけぼりにされたような変な感じがする。
祐介の家は、僕が住んでいる場所からそう遠くはなかった。
店へのルート内にあったので、道に迷うということもなかった。
だか、一体自分はどこへ向かえばいいのか。
のこのこと蓮夜に与えられた部屋に帰るなんて出来ないし、怒りがおさまっているかもわからない。
何についてかはわからないが謝ろうにも、携帯は持っていないし、お金もないから公衆電話も使えない。
自分の無力さに、たださ迷うことしか出来ないでいた。
駅に行こうか。
人が集まる場所に行けば、誰かを捕まえて金を稼ぐ手段はあるだろう。
汚いとか惨めだとか、そんなことを考えていては生きていけない。
フラフラとした足どりで、取り敢えず目的地へ向かうために歩みを進める。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
43 / 56