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俺がずっと逢いたかった人と偶然にして逢う、少し前のこと。
食事を終えて、俺は瀬戸を送るために駅に向かっていた。
「なんで先輩がお金払っちゃうんですか。
俺の奢りで、楽しく食べてもらいたかったのに」
瀬戸は唇を尖らせながら、呟く。
俺としては充分楽しんだし、今日行ったのは思いの外値の張る店だったのだ。
後輩に出させるのは気が引ける。
「じゃあさ、今度会社近くのハンバーガー屋連れてってよ。俺、行ったことなくてさ。
お前の奢りな」
「はい!約束ですよ」
本当は俺が約束してもらう側だろ。
ツッコミをいれようとして横を見ると、嬉しそうに顔を綻ばせる瀬戸の顔。
最近、こんな瀬戸を見る度に微笑ましい感情と罪悪感を抱く。
俺だって、今までにも恋愛はしてきた。
だから、わかるんだ。
わかってしまうんだ。
俺は瀬戸の気持ちには応えられない。
だって、俺は真冬が好きだから。
お金によって成り立っている関係だけど。
向こうは何ともおもってないのかもしれないけど。
居場所も知ることができないけど。
それでも、好きなんだ。
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