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「ご指名頂きありがとうございます。
真冬と申します。」
丁寧に、頭まで下げられて自己紹介をされる。
初めてなので、とことん勝手がわからない。
ここは、俺も名乗るべきなのだろう。
「八重島 暁人です。」
近くで見てみると、想像以上に美しい顔立ちをしていることがわかった。
しばらく眺めていると、首を傾げられた。
「どうか致しましたか?」
「いえ、外で真冬さんを見かけて入ったんですけど、これからどうしようかなと思いまして。」
別に、俺に男を抱く趣味はないのだ。
ただ、この青年に興味があった。
「私は、何でも仰っていただければ致します。
お金を払って頂く身ですので。
それから、敬語は使わなくていいですよ。
真冬と呼んでください。」
「わかりまし……わかった。
でも、本当にして欲しいこととか無いんだけど…」
ならば、と青年 真冬は俺のスラックスに手をかけてきた。
「なっ、どうするの?」
「舐めさせて頂きます。」
表情ひとつ変えずに、そう言われる。
そのまま、本当に俺のものを咥え込んだ。
口内は温かくて、柔らかい。
裏筋に舌を這わせて、時折尿道を掠められる。
いいところばかりを責められて、その度に頭を抑えて前後に揺さぶりたい衝動に駆られる。
壊したくなるような魅力があるんだろうな。
そんな俺に気づいたのか、喉奥まで咥え込んで締め付けられる。
フェラをされたことは、何度かある。
だが、こんなに上手いのは初めてだ。
それもそうか、売りやってる人だしな。
思い至って、売りをしているにしては若いし随分と育ちが良さそうだと思う。
いろいろな事情があるのだろう。
「ぅんっ」
別のところに意識がいっている俺に気づいてか、尿道に尖らせた舌先をいれられて、喘ぎ声が口から漏れた。
強い刺激に射精しそうになって、何とか耐える。
イっても問題はないのだが、真冬の口内を俺の精液で汚すのは気が引けた。
そういうの関係ないんだろうけど。
「イケませんか?」
「そうじゃないけど、他人の精液なんて口の中でぶちまけられたら嫌だろ。」
「構いませんよ。
毎日、口だろうと腹の中だろうとお構いなしに出されていますから。」
何の気なしに言われた言葉に、胸が痛んだ。
憐れな青年は、どこか達観したような瞳で俺を見てくる。
「そうされることで満たされていると感じることもできるんですよ。」
本心で言っているのかわかりかねるが、話に耳を傾ける。
「誰かと一夜を共にすることで、自分はまだ必要とされているんだと思うことができます。
例え、性欲処理に使われる身であるとしても自分という存在を認められれば生きることができる…
すみません。話すぎました。」
要するに、憐れむような目でみるなということなんだろう。
合点がいって、なるほどなと思う。
真冬という青年は、自分の存在理由を見つけることで生きてこれたんだろう。
真冬には真冬なりの生き方がある。
それを憐れだと言う権利は、俺にはない。
「そうだよな。真冬は、立派に生きてるんだな。」
「そんなこと言うなんて、暁人さんは不思議な人ですね。」
初めて、人から不思議だと言われた。
今日は、俺にとって初めてが多い。
「次も来ていいか?」
「もちろんです。」
返される言葉に嬉しいと感じる。
商売柄、誰に対しても同じように返答するのだろうが素直に嬉しかった。
結局、あまりそれらしいことをせずに俺は店を出た。
夜の喧騒は、相も変わらず安心感を与えてくれる。
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