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103/支倉高志side
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「あー......鈴原、何の用なんだ?」
咳払いをしてそう聞けば、鈴原はいきなり真面目な顔をして深々と頭を下げた。
岡本は驚いた様子で口を開く。
「え、何?」
「陽先輩のこと、ありがとうございました」
「......別に。写真見せて嫌がらせしただけだし。逆に怒るとこなんじゃないの?」
「いえ。本当に感謝してます」
岡本はあくまで邪魔をしたことにしてるが、鈴原にはお見通しと言ったところか。
「岡本先輩がいなかったら、きっと俺たちは終わってました」
「始まってもなかったくせに」
「......はい。始めさせてくれたのも岡本先輩です。岡本先輩じゃなかったら、陽先輩の気持ち動かせなかったと思います」
「ふん。俺は陽ちゃんの幸せを守っただけで、君のことは今でも大嫌い。もし陽ちゃんを不幸にしたら、速攻で壊しに行くから」
「はい。わかってます」
真面目な口調でそう言って頭を上げた鈴原は、もう元の表情に戻っていた。
「じゃあ、自分のクラスに戻りますね。失礼します」
それを見送って、隣の不機嫌な男に話しかける。
「律儀だな」
「そういうところも大っ嫌い」
「ははっ、だろうな」
苦い顔でいう岡本だが、嫌いな相手に好きなやつを託せるなんて、本当にすごい。出来た人間だ。
普通無理だろう。
やはり好きなやつが笑いかける相手は自分でありたいと思う。
結論を言うと、岡本が笑顔を向ける相手は俺がいい。
「はぁーあ、これからは陽ちゃんロスに耐える日々かー......」
弁当を食べながらしゃべっているせいで、岡本の口には一粒のご飯粒が。
岡本の顎を掴んで、口でそれを取る。
岡本は状況把握に三秒ほどかけて、次の瞬間に赤くなった。
「は.......?はあ!?ちょっ、支倉!?何して!?」
「あ、すまん。つい」
「ついぃっ!?」
すまない。岡本。
どうやら俺は、お前のような善い人間にはなれないようだ。
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