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「お前.....なんで自分ばっか好きだと思ってんだよ」
「え......?」
今日の鈴原はなんだか、両想いになる前に戻ったみたいだった。いや、それよりもひどいかもしれない。
「俺のこと信用できねえの?俺の気持ちが足りねえ?」
「そういうわけじゃ、ない......けど」
言葉を濁す鈴原。俺は鋭くないから、鈴原が何に悩んでんのかわからない。
「俺、素直じゃないから、伝わんねえのかもしんねえけど.......」
「違うんです。先輩が俺のこと想ってくれてるの伝わるし、それがすごく可愛いと思うんですけど、......でも、不安になる」
「だからなんで不安になんだよ」
俺がそう聞けば、鈴原が押し殺した声で言う。
俺の頭においてある手にも力が入っていた。
「......先輩が好きすぎてつらい。立花と話してるの見るだけで、先輩のこと閉じ込めたくなる。立花が陽さんって呼んでるのを聞くと、イライラして自分を忘れそうになる。俺、先輩のことになるとおかしくなっちゃうんです。こんな重い俺、気持ち悪いでしょう?」
「そんなこと......」
鈴原の気持ちは分からないでもない。俺が海で感じたあの感情の延長線なのだろう。
あの時はお互いの愛を確かめ合えば、俺の心は満たされた。
けど、鈴原は違う。あんなことした後でも辛そうだ。それはきっと、俺に甲斐性がないから。
「俺......先輩のことずっと愛すって調子乗ってたけど、このままじゃ俺が先輩に愛想つかされちゃいそう」
「......」
自嘲の笑いを浮かべて、頭の手を頬まで移動し、確かめるように撫でる鈴原。
ガブっと。
その手を俺は思いっきり噛んだ。
「ーーーーいっ!!え?先輩?」
「ばか」
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