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俺はお言葉に甘えて、車に乗せてもらうことにした。
「すみません。乗せてもらって」
「いいよいいよ。また会いたいなって思ってたしね」
運転しながら微笑む誠さんは、相変わらず優しい。
しかし、何かを思い出した様子の誠さんは、呟く。
「あ、でも早く帰らなきゃ、また怒られちゃうな......」
そして、横目で俺を見て、申し訳なさそうな声で言った。
「陽くん、悪いんだけど、ちょっと店寄って良い?あと一時間くらいで閉店するから、それまでコーヒーでも飲んで待っててもらえるかな?」
「それは全然構いませんけど......店?」
送ってもらえるだけで充分ありがたいから、いくらでも待つけど、店とか閉店とか、もしかしてバイト中だったのかと思い、俺は慌てて謝った。
「すみません。仕事中でしたか?俺すぐ降りますけど......」
「あ、全然大丈夫だよ!俺、カフェ経営してるんだけど、今店にいるのバイトの子一人だから、心配でさ」
「え?カフェ?」
真希さんの友達だから、てっきり大学生だと思っていたのに、まさかカフェを経営してるなんて。
その驚きが声に表れていたのか、誠さんは苦笑しながら言う。
「真希は大学の後輩だったんだ。俺が三年生の時、真希は一年生」
真希さんは今は三年生だから、誠さんは去年卒業したことになる。
真希さん、二歳年上を足に使うなんて......。
「卒業してすぐ店たてたんですか?すげえ」
「あはは、そんなにすごくないよ。親の継いだだけだしね」
「そうなんですか」
「うん。俺、大学で経営について学んできたから、いろいろ役に立つと思ったんだろうね。今じゃ店のことは全部俺に任せっぱなし」
にこにことそう話す誠さんは、とても楽しそう。今の仕事が大好きなのだと伝わってくる。
なんか良いな、そういうの。
俺はまだ将来について何も考えられてないけど、誠さんみたいに好きな仕事が出来れば楽しいんだろうなと、少し憧れた。
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