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「え?」
俺の発した言葉に、面を食らった顔をする立花。
そんな立花に俺は言葉を続ける。
「毎日バイトして、委員会もして学校生活充実させて、すげえよお前」
「な、なんでそんな褒めてんすか。陽さんも同じ委員会っしょ?」
褒められたことがそんなに意外なのか、少し上ずった声で言う立花に、俺は首を振った。
「いや......俺は、不幸な自分に酔って、何もしてこなかった。ただ与えられたいって願って、それなのに自分はどこか冷めてた」
俺は今までの人生、自分から何かをしようと思ったことはない。
バイトは知り合いに手伝いを頼まれた短期のものしかしたことないし、遊びに行くのだっていつも翔平が誘ってくれる。
毎日、ただなんとなく適当に生きて、これからだってそうやって生きていくんだと思ってた。
今はもっとしっかりしたいって思ってるけど、そう思えるようになったのも鈴原のおかげ。
「だから、ちゃんと自分で前向いて進んでる立花はすげえよ」
俺がそう言うと、立花は顔を手で押さえて、赤い顔を隠した。
「な、なに赤くなってんだよお前」
なんだかこっちまで恥ずかしくなって、キレ気味に言うと、立花はらしくない口調で言う。
「陽さんこそ、なに言ってんだよ。素直じゃないのが売りだろ......はぁ、なんか本気になりそうでヤバイ.......」
「は?なんだよ?聞こえねえんだけど」
最後のほうだけ声が小さすぎて聞こえなかったから問いかけると、立花は誤魔化すように話を変えた。
「いやーなんでもないっすよ!これからも相談乗ってくださいね、陽さん!」
「......あんま距離近いと殴るからな」
俺がそう言うと、本当に分かっているのか分かっていないのか、適当な返事をする立花。
そんな立花に俺はため息をつくけれど、似た境遇のこいつにあまり邪険にはできず、なんとなくこれからも話くらいしてもいいかなと思ってしまった。
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