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「でも、もう大丈夫」
抱きつくのをやめた翔平は俺の目を見つめて話す。
「俺、好きな人できたんだ」
その顔は、すごく幸せそうだった。
「あいつさー、俺が陽ちゃんのことをまだ好きでもいいから付き合えって言ったんだよ。バカだよね。俺が支倉を好きになる保証なんて無かったのに」
ということは、支倉も翔平の気持ちに気づいていたということか。
俺だけが鈍感で、いつも周りを傷つける。
そんな思いが顔に出てたのか、翔平は俺に言った。
「いーんだよ。そこが陽ちゃんのいいところなんだから」
鈍感の何が良いというのか。
そう思ったけれど、言わないでおく。
翔平の言ったことはいつも正しかったから。
俺が何度その言葉に救われたことか。
「俺が支倉のこと好きになれたの陽ちゃんのおかげなんだぜ」
「え?」
「支倉に、なんで俺が好きなのって聞いたんだ。そしたらあいつなんて言ったと思う?」
「さ、さあ?」
わからなくて首を傾げれば、翔平は可笑しそうに笑いながら言う。
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