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256/立花涼太side
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「涼太くん。今日はお店休みだし、買い物行こっか」
店の定休日は火曜日。
学校から帰ってきたら、誠さんがそう言って出迎えてくれた。
「や、でも、俺買うもんなんかないっすよ?」
「まあまあ。冬物の服とかあったほうがいいでしょ?」
「はぁ」
半ば無理やり連れていかれたのは、車で40分ほどかかるショッピングセンター。
買い物は案外早く終わって、俺たちは近くのレストランで夕食をとることにした。
俺はすぐに注文するものを決めたけど、誠さんは未だにメニューとにらめっこをしている。
「何を悩んでんすか?」
「あっごめんね、待たせて。これとこれをどうしても決められなくて......」
「あー、じゃあ俺こっち頼むんで、何口でもあげますよ」
「ほんと!?」
すっげえ嬉しそうにする誠さん。
......ちょーかわいい。
どーせ、無理やりにでも誠さんが金を払ってくれるんだから。と言うのはやめておいた。
こんな可愛い誠さんに水をさしたくない。
いいかげん、自分のぶんは自分で払わせて欲しいけど、「これからのために貯めておいて」と頑なに譲ってくれない。
そのぶん、ぜったい恩返ししなきゃな。
誰かのためにちゃんと生きようと思ったのは誠さんが初めてだ。
「ちょっと、トイレ行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
トイレ行くだけなのに、柔らかい笑顔で送り出してくれる誠さんに心があったかくなる。
自覚してからどんどん好きになってる気がした。
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