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258/立花涼太side
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「誠?」
レストランから駐車場まで歩いていると、声をかけられた。
低く色気のある聞き覚えのある声。
「あ......宏臣(ひろおみ)さん......」
宏臣と呼ばれたそいつは、身長が高い誠さんよりもさらに高くて、顔立ちも整っている。歳は30後半か40前半といったところだろうか。
「誠、久しぶりだね。......そちらは?」
俺の方をちらっと見て誠さんに問いかける。
「えっと、親戚の子で......」
親戚の子。そう言われたことに少しだけ胸が痛む。
「初めまして。誠の彼氏の藤堂宏臣です。よろしくね」
誠さんの彼氏ということは、不倫男なわけで。
......しかも、トイレの男だよな。
「......」
俺は藤堂を睨みつけるも、それは苦笑によってスルーされて、藤堂は誠さんに話しかける。
「これからどうかな?このあとは時間があるんだ。最近会えていなくて寂しかっただろう?」
「で、でも、涼太くんを送らなきゃならないし、車が......」
「なんだ、そんなこと。それなら代行を頼んであげるから心配しなくていい」
「でも......」
誠さんが俺の方を見る。
ほんとは行かせたくない。
だけど、誠さんの目は「行きたい」と言っていて、俺にそれを止める権利はない。
俺は誠さんにとってただの居候だから。
「俺のことなら大丈夫っすから、行ってください」
こんなとこで物分りのいいふりをするなんて、俺は本当に馬鹿だ。
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