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260/立花涼太side
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あの日以来、誠さんが藤堂に会いに行く頻度が多くなったような気がする。
そのぶん、ドタキャンされることも多くなったようで、今日も誠さんは携帯を見つめて悲しそうな顔をした。
「今日もドタキャンですか?」
「うん。忙しい人だからね」
無理に笑う誠さんを見て、俺はもう我慢ができなくなった。
誠さんの辛そうな顔を見てると胸が締め付けられる。
あんなやつのことはもう忘れるべきだ。
そう思い、俺は口を開く。
「あのっ、俺この間、藤堂さんが話してるの聞いたんすけど、あの人、奥さん以外にも......」
「言わないで」
「え......?」
「知ってるから、言わないで」
知ってる......?
誠さんの言葉に俺は目を見開く。
知ってて付き合ってるのか?だって、この間、自分だけ愛してくれてるって嬉しそうにしてたじゃないか。
「なんで......」
数々の疑問を一言で聞けば、誠さんは無理に笑って答える。
「俺さ、今までもずっとこんな感じなんだ。誰かの何番目かの都合のいい相手。もちろん最初は知らないんだけど、
あとあと分かってくるんだよね、自分が一番じゃないって」
「な......」
「宏臣さんだって、奥さんがいるって知ってたら好きになってなかった。いつもこんな風に、好きにならなきゃ良かったって後悔するの」
誠さんは肩を震わせながら言う。
「本当はさ、こんなのやめたいって思ってるんだ。毎日罪悪感に押しつぶされそうで、苦しくて」
やめられるならやめたい、と誠さんは消え入りそうな声で呟いた。
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