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優しすぎる君.2
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俺が落ち着くまで頭を撫で続けてくれた鈴原は、俺の息が整ったのを確認して尋ねてくる。
「どうしたの?何かあった?」
「......」
「......陽先輩。俺、先輩が悲しい顔してるの嫌です。先輩の心配事は全部取り除いてあげたい。だから、教えて?」
手を握られながらそう言われ、俺の口は言葉を紡ぎ出す。
「......夢、見た」
「夢?」
「母さんが、何の取り柄もない俺なんか産まなきゃよかったって言ってて、暴力もふるってきた」
そう言うと、鈴原の手の力が強まった気がした。
目も悲しそうに細めるから、俺のことを想ってくれてるって伝わる。
それに安心して、俺は少し素直になれた。
「それで......俺、本当に取り柄ないし、素直じゃないから......鈴原にも嫌われたらどうしようって不安になって、あんなこと......いきなり怒鳴ってごめん......」
「......っ」
「すず、はら......?」
俺が謝罪をすると、鈴原は俺のことをギューっと抱きしめてきた。
強く強く抱きしめられて、呆然とする俺に鈴原は口を開く。
「先輩。俺、この体勢で先輩を抱きしめるの大好きなんです」
「え?」
「先輩の温もりと、重みと、鼓動が感じられて、生きてるんだって思えるんです。陽先輩と二人で生きてるって、そう思える」
「......っ」
「それはこれからも同じです。これからもずっと陽先輩と生きていきたい」
どうしてこんなにも俺を愛してくれるのか。
嬉しすぎて俺の瞳からまた涙が溢れる。
「っ......俺なんかで、いいの......?」
「陽先輩が良いんです。陽先輩じゃないと嫌だ。......先輩は?」
「俺も......鈴原と生きたい」
そう言って、俺も鈴原を抱きしめ返す。
そうすれば鈴原の力もさらに強まって、すごく幸せな気持ちになった。
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