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出会いと今.1
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「うわ、またやってる......」
学校から帰ったらたまに遭遇するこの場面。
もう慣れたし、父さんたちの行為に興奮することもないけど、やっぱり気恥ずかしい。午後四時から盛る両親にため息を漏らし、外で時間を潰そうと家を出た。
あんなに浮かれた行為をしてる父親たちだけど、全てが浮かれているわけじゃない。太樹お父さんはいつもニコニコしているけれど、ふとした瞬間に寂しそうな顔をする。
それはきっとお父さんの実の息子──日比谷陽を思ってのことだろう。
写真でしか見たことない彼は、俺より一つ年上の男の子。
俺に彼の写真を見せるときのお父さんの様子はとても幸せそうだから会わせてあげたくなるし、俺自身会ってみたいきもするけれど、同時に絶対に会いたくない人物でもあった。だって俺は彼が得るはずの幸せを奪ってしまっているから。
本来俺は父さんに男手一つで育てられてるはずなのに、二人の父親がいる。普通とはかけ離れたその状況に疑問を抱くまでもなく、毎日を幸せに過ごしてきた。
こんな俺を見て、彼は何を思うのだろう。
嫉妬か。
憎悪か。
恨まれても仕方がないだろう。
誰かの犠牲の上に成り立つ幸せはなんて苦しいことか。なんて、ただの言い訳に過ぎないのだろうか。
「もう知らない!」
ぼーっとしながら街を歩いていると、少し離れたところで女の大きな声と乾いた音が響いた。
見れば、走り去っていく女と赤い頬をした男がいる。
......あーあ、かわいそうに。
男はずいぶん整った顔立ちの人だった。見たところは俺よりちょっと年上くらいだろうか。
通行人の視線を集めていても、その男は臆することなく堂々としていた。その姿が格好よくてつい目で追っていると、どんっと何かにぶつかってしまう。
その何かが最悪だった。
「おいてめえ、どこ見てんだよ」
みるからにガラの悪い金髪ピアスの男。いわゆるヤンキーというやつだ。その怖い形相に俺は急いで頭を下げた。
「あ......すみません」
「ああ!?謝って済むと思ってんのか!?」
「......っ」
大きな声で怒鳴る男にすっかり萎縮してしまった俺は、逃げることもできない。ただただ、自分より大きなその男が怖くて仕方がない。それもそのはず。俺はまだ中学生なのだ。
「ちっ。ちょっとツラ貸せや」
「えっ、ちょっ」
手を強引に引かれて、冷や汗が出る。
どうしようと思っても何も浮かばず、ただ焦りしかわかない。その間も男にどこかへ連れてかれようとしてる。
涙は出るのに声は出なくて、意味もないのに心の中で必死に助けてと叫んだ。
その瞬間、金髪の腕を誰かが掴む。
「おい、何してんだお前。こいつ嫌がってるだろ」
それは、さっき女にビンタを食らった男だった。
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