アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
出会いと今.3
-
*
「はぁ!?あのガキがお前!?」
学校からの帰り道。陽先輩に初めて会ったときのことを話したら、陽先輩はひどく驚いたようで、大きな声をあげた。目を見開く先輩も可愛い。
「あ、覚えてたんですか。何も言わないから忘れたんだと思ってました」
「いやだってお前だって知らねえし!あのときのガキ俺より小さかっただろ!なんかナヨナヨしてたし!」
ナヨナヨ......確かにあの頃の俺は大事に育てられすぎて、甘えたの意気地なしだったけど......。
「そりゃあ心も身体も成長期ですからね。良かったです」
「何がだよ!」
「先輩より大きくなれて、ですよ」
「......っ」
先輩の顎をクイッと持ち上げて軽いキスをすれば、先輩は顔を真っ赤にして、俺を押しやる。
「てめっ!ふざけんな馬鹿!外なんだけど!」
「外ですよ?だから、先輩声の大きさ抑えたほうがいいかなって、塞いでみました」
「......っ!もう知らねえ!」
ぷりぷり怒ってズカズカと進んでいく先輩の可愛背中を眺めながら、自分も後についていく。
先輩の隣に行くためには、変わらなきゃならないことがたくさんあった。
けれどどれも苦じゃなくて、一番辛かったのは自分の身の上。
先輩が愛して欲しかった人。太樹お父さんを俺が奪っていたのだと知ったとき、陽先輩は何を思うのか。それだけがただ怖かった。
けれど先輩はそんな俺を受け入れてくれて、在ろう事か好きだと言ってくれた。
陽先輩が俺のことを好きだと言ってくれて、俺と付き合ってくれて、小さなことでもヤキモチを焼いてくれたり、俺と一緒に居たいって抱きついてくれたりする。
そんな夢みたいなことが今起きている。
幸せすぎて死にそうだ。
それくらい幸せだけど、死にたくはない。まだまだずっと永遠に陽先輩と一緒に居たい。
俺は無意識に前に手を伸ばし、陽先輩を引き寄せた。
「うわっ!おいお前、いきなり──」
俺の腕の中に収まった先輩が、俺の顔を見上げる。
「な、なんつー顔してんだよ......」
「すみません......なんか、嬉しすぎて」
多分その顔はみっともない顔で、見せたくないけど見て欲しい。馬鹿みたいだけど、先輩相手だと矛盾だらけの感情が止まらなくなる。
俺が先輩の全部をもらったように、先輩にも俺の全部をあげたい。
「たっく......昔と変わってねーじゃねーか。この泣き虫」
俺の涙を拭った先輩が「帰るぞ」と手を引いてくれた。普段なら絶対やらないことをするのは、周りに誰も居ないのと、きっと俺の一粒の涙のせいだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
315 / 343