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家族.5《リクエスト》
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「ちっ」
会った瞬間に、打たれた舌。
何を隠そう。その舌打ちは、我が子、陽のもの。
「もー、陽先輩。せっかく会えたのに、なにしてるんですか」
「うっせえ」
「そんなツンツンしないでくださいよ。太樹お父さんが泣きそうです」
玲の言う通り、俺の涙腺はなんとか限界を保ってる。
だって出会い頭に舌打ちだよ?理由もなく、いきなり大好きな息子から舌打ちだよ?これで悲しくないわけがない。
そう思ったけど、陽にはちゃんとした理由があったみたいで。
「てめえクソ親父。息子と会うっつうのに、なに堂々とそんなもん首に付けてんだよ」
「え......」
陽が何を言いたいのか分からなくて首を傾げる。その俺の行動に、陽はますます苦い顔になり、玲はニヤァと口角を上げた。
「こんなの一緒に住んでた頃は日常茶飯事でしたよ。良いじゃないですか、恋人同士なんだから普通です」
「てめえの普通は、おかしいんだって気付け!」
そのやり取りで俺はやっと理解した。
急いで首を隠し、横にいる和弥を睨みつける。
「和弥......!あれほど駄目だって言ったのに......!」
「はは。太樹があまりにも可愛いから、つい」
「〰︎〰︎っ」
駄目だ。和弥に何を言っても、「可愛い」で躱されてしまう。まずは陽の誤解を解かなければ!
「陽!違うんだ!これは今朝知らないうちに和弥が......っ」
「や、やめろ!今朝とか生々しいこと言うんじゃねえ!!」
伸ばした手を払いのけられる。どうやら言い訳は逆効果になってしまったらしい。わずかに痛む手を見つめ、ショックを受ける俺を横目に、玲が陽に抱きつく。
「えー、俺たちだって今朝シちゃったじゃないですか。なんなら昼までヤッてましたよね」
「だ、だだだ黙れ変態!!!」
ひ、昼まで......!?若い......!い、いや、そんなことより。
「れ、玲......お父さん、高校生にはそういうのは早いと思うの」
「ふふ。太樹お父さん顔真っ赤で可愛い」
駄目だ。玲は和弥の子供なのだから、真面目に取り合ってくれるわけなかった。
俺に微笑む玲の胸ぐらを、陽が急に掴み上げる。
「......!?てめ、玲!親父にまで色目使ってんじゃねえよ!!」
「え、嫉妬?大丈夫ですよ。先輩が一番です」
「だぁ━━っ!ちげえよ!んなわけねえだろ!」
もうてんやわんや。
そこからしばらく、陽と玲の喧嘩が始まった。まあ、おもに陽が顔を真っ赤にして怒鳴ってるだけだけど。
店じゃなくて、家で良かった......。
そう安堵していると、横にいる和弥が小さく笑ったのが聞こえる。
「ふふ」
「......和弥、今笑う状況か?」
「だって、賑やかで楽しいじゃないか」
「......まあな」
和弥につられて、陽と玲の様子を見ながら、俺もつい笑ってしまった。
こんな嬉しい景色、嘘みたいだ。
和弥のおかげで今があって、陽とまた向き合えた。玲が居てくれたから、陽がこんなにも自然に接してくれるようになった。
助けられてばかりで情けない自分だけど、これからは皆に誇ってもらえる自分になろう。この愛しい人たちをさらに幸せに出来る自分になろう。
これからもっと、もっと、絆を深めていけたら。
家族、四人の絆を。
*
皆様、明けましておめでとうございます!
昨年は大変お世話になりました。今年もよろしくお願い致します(^^)
今年初の番外編はお父さん回!リクエストありがとうございました!
今年も『どれくらい。』を読んでいただけて嬉しいです。
ありがとうございます(*^ω^*)
太樹は、陽のツンを少し抑えてるイメージで、ザ・ヘタレを目指して書いています。
玲と和弥は完全同じ人種です。親子って怖いですね。当然ながら、ちびっこ玲くんのときは、もっと純粋でした(笑)
また更新した際は是非読んでいただけると嬉しいです!
あん
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