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親友.4
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「え、ちょっ、支倉?何いきなり大声で......」
「忘れてくれ!!」
いきなりガバッと頭を下げられ、俺は呆気に取られた。
「え」
「なるべく周りには言わないで欲しい。この通りだ!」
さらに深く腰を折った支倉。そのうち床に頭が付いてしまうのではないかというくらいの勢いだ。
「いやいやいや。別に言わないから」
まあ確かにかなりビックリした。
この真面目くんが?って度肝を抜かれたけど、でも俺は何も言えない。
だって......。
「俺だって、男......っていうか、陽ちゃんのこと好きだし」
なんとなく自然と口から溢れたその言葉。
誰かに言ったのは初めてで、思えばこれは運命ってやつだったのかもしれない。
俺の言葉を聞いた支倉が、これまた勢い良く顔を上げた。
それはもう、お宝を見つけた子供のような、キラッキラの顔を。
「やっぱりか!」
「んん?支倉?」
「常々思ってたんだ!こいつらデキてるって!」
「んんんん?」
な、なんか興奮してる?
息荒いし。
支倉のあまりの豹変ぶりに、脳が追いつかない。そんな俺に御構い無しの支倉は、さらに言葉を紡ぎ出す。それはそれは楽しそうに。
「まあでも実際は、岡本の片想いだったようだがな!しかし幼なじみというのは、すれ違いは通らなければならない道で、その後にやっと結ばれるというのが定番中の定番!日比谷も今は女に夢中でもそのうち岡本の愛らしさが分かってきて、気付いたときには『あれ?これって、恋?』みたいに思うはず!色々あった後に二人はようやく結ばれるんだ!しかしここで問題が発生する!どっちがネコをやるかだ!どちらもタチを譲らず口論になった末に、岡本が日比谷の耳元に口を寄せ、『陽ちゃんの可愛い姿みたい......お願い......陽ちゃん......ね?』と甘く甘く囁き、その囁きについ腰をビクつかせてしまった日比谷はそのまま岡本に押し倒され───はっ!」
ずっと喋りっぱなしだった支倉が、やっと我を取り戻し、青ざめた表情で俺を見た。
「あ、いや......えっと......その、すまん......」
しどろもどろ。まああれだけぶっちゃけたら、今さら言い逃れもできないだろう。
うん。まあ......あれだ。
俺の真面目な想いを妄想の肥やしにしてるってことが分かった。
俺の片想いってハッキリ言われたことに、若干傷付いた。
そして何より......。
「ぷっ!あは!ははっ......あはははっ!!」
「お、岡本......?」
「ちょ!まじなんなの!?ふっ!面白すぎっ......!」
「え、怒らないのか......?そうでなくても、引くとか......あるだろう?」
「ふふっ!いやっ、むりっ......むりだからっ!だって、そんな熱込めて語られたらっ......あはっ、お腹痛いっ!」
支倉高志。
なんて面白い男なんだろう。
俺の陽ちゃんへの気持ちをそんな風に語るなんて。
重すぎる気持ちが、なんだか軽くなって心地良かった。
荒んだ気持ちが、浄化された気がした。
独占欲とか、支配欲とか。牽制とか。
全部ぜんぶどうでも良くなって、残ったのは。
陽ちゃんが好きだ。
それだけ。
「ねえ、支倉」
ひとしきり笑って、呼吸を整えた俺は、支倉に向かってニィっと口端を上げて見せた。
「おか、もと......?」
顔を赤くした支倉の反応を見るに、多分今浮かべた笑顔は、悪魔より小悪魔に近いんだと思う。
「友達」
「え?」
「友達になろう。もっと仲良くなりたい」
「......!」
「そしてさ、これからも陽ちゃんの話聞いてくれる?」
「......!ああ、もちろん!」
これが後の恋人、支倉高志と親友になった経緯だったとさ。
***
お久しぶりです!あんです!
またまた読んでくださり、本当にありがとうございます!
今回は、壊れた支倉と友達になった翔平のお話でした!
高校に入ってますます彼女を作りまくってた陽に、心が荒み始めてた翔平......。頭おかしい支倉のお陰で、なんとか踏みとどまりました!(^^;)
壊れた支倉に対して『面白い』と思った翔平。
いつだか書いた話を回収できて安心しました......!
これからもどうぞよろしくお願い致します(*´ω`*)
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