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いきなり会話に入ってきた鈴原に、情けない声を出す俺。
昨日といい、今日の朝といい、ちょっとトラウマになっちまってる。
「鈴原っ、いきなり現れてんじゃねえ!」
「あはは、先輩と一緒に帰りたくって」
その顔はやはり笑顔だった。くそ、無駄にキラキラしやがって。
「帰りましょう、先輩」
声色こそ穏やかだが、目の奥が逃さないと言っている。
「だめ」
俺をつかもうとした鈴原の手を振り払ったのは翔平だった。
俺はその行動に少なからず驚いたが、鈴原は特に動じた様子はない。
「岡本先輩、ですよね?もしかして陽先輩とどっか遊びに行く約束でもしてました?」
「してないけど」
「そっか。よかった。じゃあ、いいですよね」
「だめだって言ってるじゃん」
「困ったなぁ。俺たち恋人なんですけど」
「だから何?鈴原くんがただ陽ちゃんの弱みを握ってるだけで、陽ちゃんは君なんか好きじゃないし」
「なんですかそれ。陽先輩が言ったの?」
「陽ちゃんの反応見てたらわかる。ずっと一緒なんだから」
「へー、そういう風に今までも陽先輩の邪魔してきたんですね。ずっと」
「......っ!」
「お前らいい加減にしろ!」
俺は、終わらない言い合いをやめさせようとする。
二人とも笑顔を浮かべてはいるが、雰囲気は最悪。
翔平が人に嫌悪感をあらわにするのは初めてだった。
「とりあえず今日は鈴原と帰るから!」
色々話さなきゃならないことがあるしな。
「陽ちゃんっ」
意外そうな顔をする翔平。
翔平の誘い以外を優先するのは初めてだから当然だ。
それがどんなに翔平を傷つけたかなんて、俺は知らなかった。
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