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「......ん......」
トントントンと心地良いリズムが聞こえる。
目を覚ますと、視界には見慣れた天井。
扉の向こうから聞こえているのは、料理中の音。
「すず......はら......」
怠くて、ぼーっとしながら、なんとなく呟くと、タイミング良く扉が開く。
「先輩?起きてる?」
「ん」
ドアから覗く鈴原の顔を見てなんだかほっとする。
「ご飯たべれますか?」
「食欲ねえ......」
「んー、でも食べなきゃ良くなりませんよ。先輩38度あるんですから」
「え」
怠いのとか頭痛いのはそのせいだったのか。
「食べさせてあげるから、頑張って食べましょう?」
寝室に入って来た鈴原が手に持ってるのは卵粥。
ベッドの端に座って、頭を撫でてくる。
そうされると頭の痛みがいくらか和らいだ気がした。
「ふーふーしてもらうのと、口移ししてもらうの、どっちが良いですか?」
「口移しは絶対いやだ」
即答した俺に、苦笑いの鈴原。
「はは、冗談ですよ」
「口移しだとお前にうつっちまうだろ......」
「......っ。なんか熱出してる先輩かわいい。色気もあるし......食べちゃいたい」
「あ?」
小声で言われたものは、ぼーっとした頭では聞き取れず、聞き返す。
「なんでもないです。はい、あーん」
「あ......」
卵粥をスプーンですくって、何回も息で冷ましてから俺の口によせたので、俺も口を開ける。
普段ならこんな恥ずかしいこと絶対に断る。てゆうか、最近は鈴原のことを避けてたし。
でも、鈴原の笑顔のなかに、俺への心配も混じっているように見えて、なんだか突き放す気になれなかった。
何口か食べてスポーツドリンクも飲むと、もう体力の限界がきた。
眠ろうとする俺の頭は鈴原に優しく撫でられ、胸の鼓動が速くなる。
速いのに、なんだかあったかくてすごく心地良い。
それは熱のせいなのか。それとも......。
そこまで考えて、意識が遠のいて行った。
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