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65/鈴原玲side
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もっと早く先輩の体調に気がついてあげれれば。
陽先輩の寝顔を見ながら、そう反省をする。
テスト勉強を理由に避けられること一週間。
テストも終わり、今日は絶対に逃さないと思って先輩のクラスに行けば、陽先輩は岡本先輩に抱きかかえられていた。
すかさず陽先輩を引き寄せて、横抱きにして、家に帰ろうとした俺に向けられた岡本先輩の冷ややかな声を思い出す。
『鈴原くんさ、最低だよね』
思い当たることがいくつもあって、どれを言われているのか。
多分、全部なんだろうな。岡本先輩には全部見抜かれてる。
陽先輩に無理やり取り入ったこと。
岡本先輩から陽先輩を奪ったこと。
与えるだけでいいと言いながら、誰よりも貪欲に陽先輩の愛を求めていること。
俺が陽先輩の悩みの原因であること。
それがわかってて放置していたこと。
その結果、陽先輩が倒れてしまったこと。
自分でも自分が嫌になる。
けど、陽先輩のこと誰にも渡したくないから、陽先輩にもっと俺のこと考えて欲しかった。
きっと先輩は俺のこと好きになりかけている。
頭を撫でたときに目が幸せそうに細まったり、キスしたときに熱い視線で見つめてきたり、セックスしてるときに愛おしそうに抱きついてきたり。
先輩は自分で気づいてないけど、俺はいつも先輩のこと見てたからわかる。
だけどこれは自分で気づいてもらわないと駄目だから。
そうしないと、俺が先輩に隠してることを知ったときに、先輩は俺を嫌いになって離れていってしまう。
だから、もっと先輩には悩んだうえで、結論を出してもらわなきゃいけない。
ごめんね。先輩。
「重くてごめん。先輩」
本当に本当に大好きだよ。
「これまでも、これからもずっと愛してます」
俺が落とした一滴の雫が先輩の頬に流れる。
「だから......あの事を知っても、俺のこと嫌いにならないでね......」
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