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84/鈴原玲side
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「陽先輩の家の事情は、ご存知ですか?」
「お父さんが浮気して出て行って、それからはお母さんからの虐待の毎日って」
俺が質問をすると、岡本先輩はそう答えた。
岡本先輩が知ってるのは、陽先輩が教えたことのみ。
ということは、陽先輩の認識は少し間違っている。
「はい。でも少し違います。浮気したのはお母さんの方です。お父さんは出て行かされたんです」
「え?でも、じゃあなんでお母さん荒れたの?」
「すぐに振られたんでしょう。夫も失い、彼氏も失い、それで陽先輩に当たったんだと思います。自分勝手な人ですよね」
「でも......お父さんも陽ちゃんを捨てたのは事実だ。陽ちゃんも一緒に連れてってくれれば、陽ちゃんはあんな傷だらけにならずに済んだ」
見えないとこにばっかつけやがって、と岡本先輩は悔しそうにする。
俺が見たことない時期の陽先輩。それを知っている岡本先輩は想像以上に怒りを感じていることだろう。
「はい。お父さんも自分を責めています。だから引き取った後も一緒に暮らしませんでした。自分は一緒にいる資格がないって」
「引き取った?」
「陽先輩が虐待されてるって気づいて、引き取ろうとしました。けどお母さんがすぐに了解しなかったんです。結局、一年ほどかかってしまいました。その後は、陽先輩はおじいさんおばあさんの家に」
「......そっか。それはわかった。でも、問題はそこじゃない。何で鈴原くんがこんなに知っているのかってこと」
「......」
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