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85/支倉高志side
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そこからは、鈴原は一気に全部話した。
日比谷の父親・太樹さんと、鈴原の父親・和弥さんは大学時代からの友人で、太樹さんが家を追い出されてからしばらくは、鈴原家に泊まっていたこと。
そこで改めて意気投合して、ふたりは小さな会社を立ち上げたこと。
運良く、その会社は軌道に乗って、大きく成長していったこと。
大変なときも二人で力を合わせてやってきたせいか、和弥さんが、太樹さんに抱いてはならない感情を抱き始めたこと。
太樹さんもそれに応えたこと。
鈴原は幼い頃に母親を病気で亡くしていたため、親が二人になって嬉しかったこと。
三人で過ごした日々は、本当に幸せだったこと。
太樹さんから、自分と同じくらいの年頃の息子がいると聞かされたこと。
話を聞いたり写真を見たりしているうちに、日比谷に興味を持ち始めたこと。
中学生のとき、偶然、日比谷に遭遇して完全に恋に落ちたこと。
日比谷が父親たちが経営しているマンションに住むと聞いて、自分も住みたいと頼み込んだこと。
日比谷と接点を持つために、同じ高校へ進学したこと。
日比谷のことを心から大事に思っていて、幸せにしたいと思っているということ。
そして......
「......陽先輩が辛い思いをしていた時期に、陽先輩のお父さんと幸せに暮らしていた俺は......先輩の幸せを奪っていたんです」
だから、と鈴原は言葉をつなげる。
その顔は、声は、全てが重い。
「こんな俺が陽先輩からの愛を求めるなんて......本当は駄目なんです」
だけど、それでも、どうしようもなく愛しているんだ。
愛して欲しいんだ。
鈴原はそう言って唇を噛み締めた。
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