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「てゆうか、お前毎日バイトしてんの?」
「うっす。俺、親なしなんで、高校生のうちに少しでも蓄えておこうと思ってんすよ」
「え?」
親なし?
なんのためらいもなく言う立花に、俺は戸惑う。
そんなこと、あんまり親しくない俺に、そんな軽いノリで言うか?
「あ......わりぃ」
反射的に謝ると、立花はニカッと笑う。
「いいっすよ。俺、噂で陽さんの事情知っちゃってんすよね。それで親近感湧いちゃって」
今の高校には、小学から一緒のやつがちらほらいるから、俺の家の事情を知ってるやつはいるだろう。
ましてや、友好関係が広そうな立花のことだ。それを知っていても何も不思議ではない。
「だから、陽さんには知っててもらいたいんすよね。俺、雇い主以外に話したことないんで。普通の人だと同情されて終わりっしょ?」
頬をかきながら、そう言う立花。
人それぞれだとは思うが、こういう話は誰かに聞いてもらうとすっきりする。
俺も、いつも翔平がそばにいたから、なんとか今までやってこれた。
だから、立花が話したいと言うなら、聞いてやりたい。
「まぁ......お前が良いんなら良いけど」
「わーい。......って言っても、両親が育児放棄していつも飲み歩いて、餓死寸前で助け出されたってだけなんすけどね」
「だけって......」
「ははっ。まー、あとは、両親は行方不明になって、今の保護者は親戚の叔父さん。家は元々の場所に一人で住まわしてもらってるって感じっすね。気楽で、なかなか幸せっすよ」
飄々と言う立花からは、本当に幸せを感じているのかわからなくて、ちょっと怖い。
そんな立花に俺が言えるのは、
「お前、すごいな」
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