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俺の家.1
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*
「もうすぐ冬休みだね」
一緒にリビングでくつろいでいたら、横に座っていた誠さんがそう言いだした。
「そうっすねー。誠さんと初めての年越し、楽しみっす!」
俺がニコッと笑ってそう言えば、誠さんは「そうだね」と微笑んだけど、少しだけ様子がおかしい。なんかそわそわと言いにくそうにしている。
「あの、さ」
「はい?」
「年越しの前に、涼太くん一回お家帰らない?」
「家......?」
前住んでたボロアパートは売ったし、俺の現在の家はここだ。誠さんが言う意味が分からなくて、頭を傾げる。
「その......叔父さんがいるお家。俺、涼太くんのこと預かってるのに、ちゃんと挨拶も出来てないから」
......そういうことか。
「......必要ないっすよ。あの人俺のことなんかどうでも良いって思ってるんで」
「でもほら、一応さ......」
「.......」
俺の両親が最低なだけあって、叔父さんもなかなかのものだった。俺が叔父さんの家にいた頃は、暴力こそふるわなかったものの、「あんな親から生まれたお前はろくでなしだ」「気色悪い」「お荷物」「早く出てけ」と数々の罵倒を浴びせられた。
それに俺は......誠さんに知られたくないことがある。
俺が犯してしまった過ちがある。
だからもし行ったら、余計なことや誠さんを傷付ける言葉を言うかもしれない。そんなのは絶対に嫌だった。
でも......
「涼太くん、お願い」
誠さんの目は真剣で、どうやら引く気は無いらしい。
真面目な誠さんのことだから、何の挨拶もなしに未成年を預かるなんて嫌なのだろう。
そう思った俺は、仕方なく折れることにした。
「......分かりました。けど、挨拶したらすぐ帰りますよ?」
「うん。ありがとう、涼太くん」
俺の了承を得ると嬉しそうな顔をする誠さん。俺の肩にもたれかかってきて、冬休みは何して遊びたい?なんて可愛く聞いてくるけど、ぶっちゃけ遊ぶことにはそんなに興味ない。
俺は、誠さんと一緒に居られるだけで幸せだから。
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