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『会いたい』
鈴原の部屋の前に立ち、そうメールを送ると、数秒で勢いよくドアが開く。
「先輩......!」
「なか入れろよ。話がある」
初めて入ったその部屋は、俺のよりもシンプルだった。
机と椅子とテレビがあるだけで、無駄なものは一切ない。
俺の部屋より多いものといえば、調理道具くらい。
部屋を観察する俺に、恐る恐る声がかかる。
「......あの......先輩」
「何だよ」
「いや......話って」
「鈴原が好きだ」
さっきまでのうじうじした自分はどこへやら、はっきりとそう口にした。
進むと決めた俺はもう止まらない。
「あの女と一緒にいるお前を見て、わかったんだ。鈴原を誰にも渡したくないって思った。ずっと俺だけを見て欲しい」
鈴原は何を言われているのか理解できてないようで、ぽかんとしている。
「お前が俺に飽きたとしても、俺はもう戻れない」
自分でも意味わかんねえけど、それほど惚れてしまっている。ずっと一緒にいたい。
「飽きてなんてないです!あの人は従姉弟で、そういう関係じゃありません」
「従姉弟......?」
「はい。俺が陽先輩を好きじゃなくなるなんてありえないです」
「......」
あの女が従姉弟だったと知って、少し安心する。
でも、これからあの事実を聞いても、こいつは同じ事が言えるのだろうか。
怖い。
怖いけど、言うしかない。
前に進むんだ。
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