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病院
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「右耳は75db。左耳は90dbだって」
兄さんが耳元で呟いてくれる。
「これつけてその数値?」
補聴器を指差しながら言うと、
今度は先生が
(違うよ。そのままで)
って。
嘘だろ?
それじゃあ…
「やっぱり何か良いことあったんじゃん。
お兄ちゃんにも教えてよ」
「うるさい」
75dbってことは、補聴器をつけなくても、
耳元で話されれば聞こえるってこと。
90dbなら、補聴器をつければ聞こえるかもってこと。
何で…?
あいつのおかげ…なの?
「瑠衣、先生が呼んでる」
兄さんの声にはっと顔を上げると、そこには、
満面の笑みを浮かべる先生の顔があった。
(左耳にも補聴器つけてみる?
多分もっと生活しやすいと思うけど?)
その言葉に兄さんも大きく頷いていて、
俺の頭をわしゃわしゃ撫でた。
「兄さん、うざい。
もう帰る」
兄さんの手を振り払い、そのまま席を立った。
ドアに手をかけたとき、兄さんの呼び止める声がはっきりと聞こえたけど
俺は完全に無視して、部屋を後にした。
なんか分かんない。
あいつに会ったことってそんなに“良いこと”?
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