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『ベッドで物を食べることはこれを厳格に禁ずる』
入り口の貼り紙に赤字で書かれていた注意書を初めのうちは守っていたけど、それは1週間ともたなかった。
秀でた野生の勘からバレたら何か悪いことが待っている気がして、とにかく溢さないように証拠を残さないように食べていたけどそれも2週間ともたなかった。
そして今日もまた寮長巡回の時間がやってきた。
「おはようございます」
あ! 晩里だ!
禁を破ってベッドで食べていたお菓子の袋を咄嗟に俯せになった身体の下に押し込んで覆い隠した。
今日はリネンを交換する日じゃないから、晩里が出ていくまでここから動かなければ大丈夫だ。
身体の下でポテトチップスが割れる音は晩里のところまで聞こえる筈はないけど、隠し事をするのってめっちゃドキドキする。
「望夢」
「なにー」
下を向いたまま首だけ回して返事をすると晩里はベッドの前に歩み寄ってきた。
「その下に何を隠しているのですか」
「!」
何でバレたーっ!?
この人まさか透視とか出来たりするの?
でもここで動揺したら負けだ。堂々と振る舞う他に選択肢はない。
「新発売のポテチだよー。晩里も食べる?」
「食べません」
「そっかー。じゃあ俺が」
ベッドの下から取り出したポテトチップスをしれ~っと口に運ぼうとすると晩里に手首を掴まれた。
毎日の家事労働で鍛えているからか、細い体をしているくせに握力がめっちゃ強い。
「ベッドで物を食べるなと言いましたよね? 玄関にも貼ってありましたよね?」
「うん? あー、うん。言ってたし貼ってあった」
「貴方という人は…」
晩里は呆れて言葉が出て来ないと言わんばかりに立ち尽くすけど、こっちも譲れない。
「別にさー、溢さなければいいじゃん」
「駄目ですっ!」
強引にポテトチップスを取り上げた弾みに中身が溢れて、晩里の目が三角になった。
「とにかく、ここも掃除しますよ」
「うん、わかった」
邪魔になるからベッドを降りようとすると何の予告もなく晩里に押し倒された。
「!」
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