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悪夢のような時間がようやく去ると晩里はベッドのリネンを外し、それを持ってついてくるように告げた。
各部屋の掃除は、俺の部屋が最後だったようで晩里は1階のランドリールームに直行した。
「それは、この中に入れておいてください」
晩里が指差す先にあるランドリーバッグにリネンを入れて部屋に戻ろうとすると「何処に行くのですか」と引き止められた。
「寮則を破ったので罰として昼食作りの手伝いをして頂きます」
食堂に向かいながら晩里が「時間がないので簡単なもので済ませましょう」と言うから、自分のせいで手抜き昼食を味わう羽目になる学生に悪いと思ったけど、何のことはない、今日は平日だった。
俺は取っている講義が休講で偶然寮に居たけど、他の寮生はみんな学食だから今日の昼食をここで食べるのは2人だけだ。
「何作るの?」
「チャーハンにしましょう。朝食のご飯が残ってますから」
罰として手伝えと言った割に晩里の手際が良すぎるから、手伝ったのはデザートのリンゴを剥いて塩水に浸けたことぐらい。
その間にレタスたっぷりのチャーハンを作りあげて、掻き玉スープまで用意してしまった晩里に驚嘆を隠せない。
「さあ、頂きましょう」
手際よく盛り付けられたチャーハンは、この短時間で作ったとは思えないぐらい本格的な味で驚いた。
「あ!」
俺のレンゲからチャーハンが床に溢れたのを目敏く見つけた晩里はスッと立ってウェットティッシュで床を拭き取った。
「後で拾うから良かったのに」
「駄目です。虫が沸くでしょう」
晩里の虫嫌いは本当に徹底している。
「何でそんなに虫が嫌いなの?」
「子供の頃、キャンプ場で寝ていたらテントに入ってきた虫に鼻をかじられたんですよ」
「……」
寮長として皆が快適な寮生活を送れるように綺麗にしているのかと思ったらただの私怨だ。しかもガッツリ周りを巻き込んだ。
「だからこの寮は清潔に保ちましょうね」
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