アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
鈴にい-2
-
「行きたい所を考えておいてください」
晩里は「どんな所に連れていったら喜ぶのか私では分からなくて」とデートの行き先を俺に丸投げしてきた。
友人が誰も捕まらなかったから仕方なく一人で駅前のショッピングモールにやって来た。
平日の午後から遊ぶのならここに来るのもいいかもしれない。
映画を見て、食事をして、ゲーセンで遊んで……。
いつも友人と遊びにくる馴染みのショッピングモールもデートで来ると考えただけで途端にキラキラと輝いて見える。
晩里と出掛けるのは素直に楽しみだった。
あんな場面を目にしてしまうまでは――。
「あれ?」
服を見ていると、後ろの方から聞き覚えのある声が近づいてきた。
背後を通過していく姿が、ちょうど目の前にある姿見に映って確信をもった。
晩里……と1年生……。
晩里と話しながら歩いているのはこの間部屋に泊まらせてもらった1年生だった。
何でこの2人が一緒に居るのか。
「これ似合うんじゃない?」
「これですか? 私にはちょっと派手なのでは?」
「わかってないなー、鈴にいは。これぐらいがいいんだよ」
鈴にい……。
その呼び方もだけど、1年生が晩里にタメ口をきいている事にもびっくりした。
いつも寮で話している時は運動部らしいきっちりした敬語を使いこなしていたのに。
「これだよ、これ」
「ユタカがそこまで言うのなら」
そうだ。
ユタカって言っていた、あの1年生。
「あなたは、欲しい服はないのですか?」
「俺はいいよ。今日は鈴にいのために来たんだし」
「ユタカは優しいですね」
「何だよ、改まって。俺と鈴にいの仲じゃんか」
「それもそうですね」
はぁっ!?
オレトスズニイノナカ……。
そのフレーズが何度も頭の中でリピートされる。
浮気? もう浮気?
まだ付き合いだしたばかりなのに。
ずっと好きだったと言ってたのに。
ひどいよ、晩里!!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
37 / 111