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沢井流が来たよ-2
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「皆さん素晴らしい筋肉をお持ちですね」
夕食も無事済んだところで、ホッと気分がほぐれて4人の身体に目が止まった。
流石は空手の名手だけあって、揃いのTシャツの腕から覗く筋肉は、程度の差こそあれ4人とも引き締まっている。
悠夜さんと志朗さんは身長もあり、いかにも高段者といった風格を漂わせている。
葵琉さんは小柄な中にも凛とした雰囲気が備わっていて、虎太郎さんは練習の虫といった真面目な所が甥のユタカを彷彿とさせる。
4人とも本当に立派だ。
それに引き換え、自分の腕の貧相なこと。
こんなヒョロヒョロの腕じゃあ望夢も振り向いてはくれないだろう。
「凄~い」
隣に座る虎太郎さんの腕を触らせて貰った望夢は、筋肉の固さに目をキラキラさせている。
「……」
今夜から腕立て伏せを始めようか。
1ヶ月もしたら薄っすらと筋肉が付くかもしれない。
「私もそのような身体を目指したいものです」
そうすれば望夢もちょっとはこっちを見てくれるかもしれないと思い、つい本音が零れた。
「ならば早速!」
え!?
肩まである長い髪を手際よく束ねた悠夜さんが立ち上がった。
この人が4人の中で段位も経験も一番上のようだ。
「今ですか?」
「善は急げですよ」
悠夜さんが視線だけで何か指示を飛ばすと虎太郎さんがスッと立ち上がった。
「洗い物は俺がやるので」
何たる連携プレー。
食卓の上のお皿は虎太郎さんによってテキパキと片付けられ、椅子は食堂の隅に重ねられた。
あっという間にいつもの作務衣から白い道着に着替えさせられて、テーブルを隅に寄せた食堂で即席の空手道場がこしらえられた。
数十分後――。
「なかなか筋がいいですね」
手取り足取り指導して貰ったおかげで何とか形になってきた。
「特別に2色帯を授与しましょう」
悠夜さんが虎太郎さんに命じて荷物から取り出させたのは、白帯の中央に青いラインの入った2色帯だった。
「これなら明日の本番に出演されてもいいかもしれませんね」
え?
本番?
「一つ目の型をマスターしたら青白青の2色帯に上がりますし、2つ目の型まで覚えたら青帯の試験を受ける事も出来ますよ」
何なら今から型を覚えましょうかとまで言われて慌てて断った。
凄く熱心に教えようとしてくれるのだけど初心者には覚える事だらけでいっぱいいっぱいだ。
「望夢さんもやりませんか?」
「俺は見てるだけでいいよ~」
まだ教える資格を取っていないという葵琉さんと並んで座っている望夢は少し退屈そうだ。
二人がこの場の空気から置いてけぼりになっているのは気付いていたけれど、どうしてあげることもできない。
「俺の部屋来ない?」
「いいけど」
望夢が葵琉さんを促してその場を抜け出すのが視界の隅に映ってはいたけど目で追おうとしたら「視線は前に」と注意を受けてしまった。
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