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危ない第2寮-8
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「今のが晩里の」
「ああ。もう見ただろ。帰れ」
「えー? もうちょっと見たいー」
「何だよそれ!」
談話室の二人に聞こえないよう小声で話していると、突然二人が談話室から連れ立って出てきたので咄嗟に柱の陰に身を潜めた。
「たっのし~」
探偵みたい~とはしゃぐキリの口を思いっきり掌で蓋して、ついでに親指と人差し指で鼻も摘まんでやった。
「んーっ!! んーっ!!」
お前のせいで見つかったらどうしてくれる。
「うわっ!!」
口に蓋していた手の平をいきなりベロりとやられて全身に悪寒が走った。
「何すんだ、お前」
「何すんだは俺のセリフだよ~」
窒息するかと思った~! と文句を垂れるキリの服で、ベタベタになった手の平をゴシゴシ拭った。
「ほら、ついてかないと」
キリが変な事する所為で二人の姿を危うく見失うところだった。
ある部屋の前で立ち止まった「先輩」は、ドアを開けて望夢を招き入れた。
「晩里? こっちこっち」
「キリ、お前」
キリは、二人が姿を消した部屋の隣のドアを開けて俺を手招きした。
「早くっ!!」
引っ張り込まれたのは矢鱈と埃っぽい物置だった。
何だこの部屋は!
第5寮では考えられない余りの埃っぽさに鳥肌が立った。
誰だ、第2の寮長は!
寮長の血が騒いだのか、体が勝手に動いて壁に立て掛けてある掃除機を手にしていた。
こんな埃っぽい所に居たら体がおかしくなる。
コードを引っ張り出して壁のコンセントに差し込む。
「晩里っ! 掃除なんかしてる場合じゃないよ!!」
さっきからキリは壁にピタリと張り付いて何をしているかと思えば、どうやら隣の部屋の会話を盗み聞きしているようだ。
「ほらほら、早く、耳っ!!」
キリは壁に耳をつけて手招きするが、正直そんな埃っぽい壁に触れるのは抵抗がある。
落ちていた雑巾で壁をゴシゴシと拭ってから持っていたハンカチ越しに耳をつけた。
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