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危ない第2寮-10(完)
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「俺は」
「やっぱり布団暑い~」
ブォーンッ。
ブォーンッ。
何か言いかけた望夢の台詞は全て掻き消されてしまった。
「キリ、五月蝿いっ!!」
ヒューンッ。
掃除機の音が止んで、同時に映画のBGMもピタリと静まる。
「やだーっ、助けて、晩里!!」
望夢が危ない!!
キリを連れていこうと振り向いたら下半身にノズルが刺さっていて、迷うことなく置いていく事にする。
俺には、沢井流空手を毎晩トレーニングして鍛えたこの拳がある!!
「これ持ってけば」
キリは、床に転がっていた何かを拾って俺に投げて寄越した。
「何だこれ?」
トゲトゲの付いた金属製の物体には幾つか穴が空いている。
いざとなれば何かの役には立つだろう。
謎の物体を握りしめて隣のドアを開け放った。
「望夢!!」
「晩里!?」
いきなり現れた俺を見て二人とも目を白黒させている。
「うちの寮生に何をする気だ」
努めて低い声を作り、謎の物体を手に仁王立ちした途端、2寮の男は望夢を俺の方に押し遣った。
「晩里~!!」
派手な立ち回りを期待していたわけではないけど、あまりにあっさり解放されて拍子抜けだ。
男の気が変わらないうちにと望夢の腕を掴んで部屋を飛び出した。
「良かった」
「晩里……」
「貴方が無事で本当に良かった」
思わず望夢の身体を抱き締めてしまってから、ここが廊下だった事を思い出して慌てて離れる。
「何で晩里来てくれたの? 俺の叫びが5寮まで聞こえた?」
「そんなわけないでしょう」
隣の部屋に潜んでいた事は内緒にしておきたい。
「さ、帰りましょう」
何か忘れている気がしないわけでもないけど、とにかく望夢が無事だったらそれでいい。
(完)
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