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his genome-1
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「お前第5だろ?」
「そうですけど?」
第2寮の友達の部屋に遊びに来たら、突然廊下で呼び止められた。
振り向くと、よく日焼けしたマッチョな男が細身の綺麗な男の人の腕を掴んで立っていた。
「こいつがうちの寮の物置に潜んでたんだ。第5に連れて帰ってくれ」
「え?」
連れて帰れって言われても、うちの寮で見たことないんだけど、この人。
「誰……ですか?」
「寮長の知り合いだと」
「寮長の……」
鈴にいの知り合いってだけで第5寮に丸投げってアリなのか。
無責任だぞ、第2寮。
「じゃあ頼んだぞ」
「あの」
言いたいことだけ言ってマッチョ男は去ってしまった。
「えっと、鈴、じゃなくて寮長の」
「俺、一人で帰れる」
その人はさっさと出口に向かってしまった。
何なんだよ、どいつもこいつも自分の主張ばっかり!
でもこれで、見知らぬ人を第5に連行する責務からは解放されたわけだ。
色々と腑に落ちないけどそのまま友達の部屋に向かった。
本当に何だったんだ、今の?
「鈴にい、あのさ」
「何ですか?」
寮に帰って食堂で洗い物をしていた鈴にいを掴まえた。
「鈴にいの知り合いで、めっちゃ綺麗な男の人って居る?」
「居ない!!」
カゴに置かれた鍋のフタがガンっと音を立てた。
ん?
鈴にい今日機嫌が悪いのかな。
いつもより声がワンオクターブ低いし、食器洗いもいつになく乱暴だし。
「ユタカ、お前も変な男にノコノコついてくんじゃないぞ!!」
鈴にいが寮内で敬語じゃないのは滅茶苦茶珍しい。
これは絶対何かあったんだ。
恋人とケンカでもしたかな。
「鈴にい何かあったの?」
「何にもない!!」
結局、不機嫌丸出しの鈴にいに追い出されるように食堂を後にした。
やっぱりケンカしたのかな、先輩と。
それしか考えられない。
明日の朝食の味付けは濃くなりそうだ。
自室に戻ってドアを開けると部屋の電気が点いていた。
鈴にいが掃除しに来た時に消し忘れたのかな?
大して気にも止めずに奥へと足を進めると、いつもと違う香水のような匂いが漂っていて嫌な胸騒ぎがした。
「え?」
「昼間ぶり~」
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