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his genome-11
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そして翌日、鈴にいの手から掃除機を奪い取るまたとないチャンスが巡ってきた。
「替えの電球を切らしていまして」
俺が朝イチで電球が切れた事を伝えに行くと、備品庫を覗いた鈴にいは申し訳なさそうに答えた。
「掃除を終えたらホームセンターに行って買ってきますので、それまでは我慢して貰えますか」
「じゃ、じゃあ俺が代わりに自分の部屋掃除するよ。ほら、今日昼から雨だから電気点かないと不便だし」
「そうですか。それならお願いします」
急いで買ってくるという鈴にいに、「急がなくていいからついでに夕飯の買い物もしてきたら?」と提案するとすんなり受け入れられた。
よし!
これで時間稼ぎも万全だ。
「じゃあ後は任せましたよ」
鈴にいは疑うことなく掃除道具一式を俺に託して出掛けていった。
こんなに簡単に手に入るとは思っていなかったから拍子抜けだ。
俺の部屋にはキリさんが潜んでいるから鈴にいを入れるわけにはいかないし、色んなパターンを想定してイメージトレーニングをしていたけど意外すぎる程上手くいった。
「キリさん、借りてきたよ」
「でかした~」
キリさんは細い指で俺の頭をワシャワシャっと撫でて、お目当てのブツを受け取った。
一緒にやる? と聞かれて慌ててブンブンと頭を横に振る。
「楽しいよ?」
「お、俺は間に合ってます!!」
何だ、一緒にって!?
20年ほど平凡に生きてきた俺にはそんな世界縁がないんだから。
そりゃあ興味が全くないと言ったら嘘になるけど、キリさんのあんな所やこんな所を掃除機で……って想像しただけで顔がカッと熱くなった。
「じゃ、じゃあ俺、窓拭いてるからキリさんごゆっくりどうぞ」
雑巾を手に机の方へ向かうと、開けっぱなしの引き出しで何かが光った。
ん?
10センチほど開いたその隙間でキラリと光ったのは俺のじゃないピアス。
今、返すべきなのはわかっているけど見なかった事にしてそっと引き出しを閉めた。
これがあればまたキリさんが来てくれるかもしれないから。
窓を拭いていても、どうにも背後が気になって仕方がない。
カチッ。
ブォーーーッ。
今から繰り広げられるであろう光景を想像すると、身体の奥の方に熱が生まれた。
ゴクリ。
俺は何を期待しているんだ。
頭の中で、胸の奥で、外へ出る事の出来ない感情の糸が縺れて絡まり合う。
ヒューンッ。
「あれ? 止まっちゃった」
突然部屋が静かになって、思わず振り向いてしまった。
「!」
不思議そうに首を傾げるキリさんの背後に見てはいけないものを見つけてしまった。
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