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ハンバーグを作ろう-6(完)
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ただそれだけなわけないじゃん。
あんなに不穏な空気を漂わせていた二人だ。
絶対昔何かあったんだ!
「晩里ぃ~」
引き締まった腹筋をポカポカと殴っていたら、しまいに晩里はクルッと下を向いてしまった。
「もうちょい上です。そうそう、その辺り」
いつの間にか肩たたきをさせられていて、仕方ないからそのまま続行。
「そろそろ疲れたでしょう」
仰向けに戻った晩里は腕を横にびろーんと伸ばした。
これは乗っかってもいいって事かな?
晩里の隣に横になって頭を凭せかけると頭をサワサワと撫でられた。
いいな、腕枕。
寝心地は本物の枕に大差で負けるけど、俺だけの枕だっていう特別感がそれを十二分にカバーしてくれる。
あと、この絶妙な温かさ!!
いやな事も全部忘れて、晩里の秘密を探ろうとしてたのも忘れて目を閉じた。
ついうとうとしてしまって、目を開けると窓の外にはさっきまでと違う色が広がっていた。
頭をもぞもぞと動かしていると擽ったかったのか晩里が薄く目を開いてこっちを見る。
「今……何時ですか?」
「6時?」
「ええっ!?」
目をパッチリと見開いた晩里は俺を跳ね除けてバタバタと走って行ってしまった。
「寮内は走っちゃいけないのに……」
晩里が大慌てで拵えたハンバーグは煮込む間も無く即席のソースと共に夕食のテーブルに供された。
せっかく買ってきた「煮込みハンバーグソース」は晩里がコソコソと棚に仕舞い込んでいた。
「ああ、私は寮長失格です」
晩里が頭を抱えて嘆いているから洗い物を手伝ってあげた。
いつもこれぐらいルーズな寮長だと俺は暮らしやすいんだけどな。
「駄目です! 寮の仕事はちゃんとしなくては」
当分の間はこの調子だろうな。
俺の予感は的中して、それからしばらく晩里が昼間っから俺の部屋に遊びに来ることはなかった。
(完)
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