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グレンの話 10
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「えっと…」
俺の突然の申し出に彼女は困惑していた。
「それは、貴方が私達を引き取ると言う事でしょうか。」
「あぁ。そのつもりだ。」
そう答え、彼女は少し考え込む様にして俯いた。
断られても仕方はないと分かっている。
初めて会った人物を信じられる人なんていないだろうから。
「…やはり、迷惑だっただろうか。」
少し落ち込んでしまって俯く。
「俺が怖ければ、この話は断ってくれて構わない。」
「そんな事は無いんですけど…少し思う所が会ったので。」
と彼女は答えた。
「だって私達を引き取っても、警部さんに得なんて何もないじゃないですか。それとも母みたいに…」
そこまで言って彼女は口ごもる。
「…どうして私達の父親になろうと思ったのか、教えてくれませんか?」
「あぁ、分かった。」
そして俺はこの事件の調査を始めてからの想いを話した。
「俺に出来るか分からないが、俺が彼を笑顔にしたいと思ってしまった。だから…」
長々と語ってしまい、ローザがいつの間にか黙ってしまったことに気づく。
引かれてしまっただろうか。
俺は彼女の様子を伺うように顔を上げる。
しかし、彼女の表情は俺の思っていたものとは違った。
泣いていたのだ。
「…っ、すまない!俺は何か君を悲しませる事を言ってしまったのだろうか…」
今まで悲しみに耐え、作り笑いをしていた彼女が泣いたのだ。
俺は相当な事を言ってしまったのだろうと思い狼狽える。
「…ありがとうございます。」
「…え?」
「兄の事、そんな風に思ってくれてありがとうございます…。」
ローザはそう言って俺の目をまっすぐ見た。
「私達を、…貴方の子どもにして下さい。」
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