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山眠る ~プレ1
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あの明るい髪が、教室の中にいなかった。
可児は、新入生が数を増して押し寄せる廊下を逆戻りした。その中で、一人集団から外れ、上への階段を昇る明るい髪を見つけた。
可児は見つからないように彼の後をつけた。
上に昇っていくにつれ、雑多な声や音が薄れていく。
階段は四階まで続き、その上の踊り場から屋上に出ることができる。遊命は迷わずに屋上へ出ていった。
三方を腰上の窓で囲われた踊り場は身を隠すのに好都合で、可児は屈んで遊命の行動を追った。
屋上には同じ制服を着た三人の男達が、煙草を吸いながら、遊命を待ち構えていた。
その内の一人は見覚えのある顔で、願書を提出した日、遊命を挑発した男だった。
遊命は三人から距離を置いて立ち止まった。挑発した男と遊命が何か喋っているが、可児にはよく聞こえない。
三人は少しずつ遊命との距離を縮め、声を荒げていった。
「…れば、許してやるっつってんだよ」
取り巻きの一人が遊命の胸ぐらを掴み威圧した。
遊命が何か言ったのか、胸ぐらを掴んでいた男は逆上し、腕を振り上げて殴りかかろうとした。
刹那、遊命は男の手首を捻り、振り上げて空いた脇に蹴りを入れた。
「…っ!」
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