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夏の章二 清明(せいめい)
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「壊滅的やな」
遊命の実力がどれくらいのレベルなのか、可児が自作のプリントで試してみたが、結果は見事に酷かった。
「だから言ったじゃねぇか。中学レベルも怪しいって」
「謙遜して言ってんのかと思ったわ。謙遜って何?って訊くなよ」
「……」
「訊くつもりやったんか…」
可児は、軽く溜め息を一つ。
「いや…なぁ、親の帰りっていつもこんな遅いの? もう十時じゃん」
「あぁ、今日はたまたまや。おかんはもうすぐ帰ってくんやろ。おとんは彼氏ンとこちゃうかな?」
「…彼氏?」
「彼氏。おとん、ゲイやから。次、これやってみ」
今度は違う教科の自作プリントを遊命に渡した。
可児にとっては、父親がゲイなのはもう他人事だった。
父親の存在が肉親というより、個人として確立されていて、結果「おとんの人生や。好きにしたらえぇやん」に至った。
ただ、他人には理解できない間柄、というのも理解していた。
──遊命はどう思うのだろう。
嘘はつきたくなかったが、全てを話すことに少しだけ躊躇した。
「え…でも、結婚してんだよな?」
「うん。まぁ、話せば長くなんねんけど」
「話す気があるんなら、長くても聞くよ?」
「てか、プリントやってや。聞く価値あるよな話とちゃうし」
「元々の始まりは何だったんだよ?」
食い下がる遊命に、可児は眉根を寄せた。
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