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夏の章二 清明(せいめい)
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一階のリビングでは、眼鏡姿の可児がパソコンで何か打ち込んでいた。
遊命は一呼吸おいて、可児に声を掛けた。
「可児、シャワー使っていい?」
「ん、えぇよ」
可児は、パソコンから目を離さず返事した。
「え…と、うちの人は? まだ寝てんの?」
「もう出掛けたで。仕事言うてたし」
「ふーん」
何も変わらない、いつもの口調で話す可児に、遊命は少しだけ安堵した。
気恥ずかしさを、面と向かって指摘されたら、一発お見舞いしてた。
「洗面所のバスタオル使ってえぇから」
「分かった」
「服脱いで入ってな」
可児の言葉に、遊命は笑みをこぼす。
「分かってるよ」
そう言えば、昨日ずぶ濡れになった制服はどうなったんだろう?
可児の制服と一緒に、洗濯機に入れたところまでは覚えているが、その後は定かではなかった。
バスルームに入ると、遊命の記憶はまた少しだけ遡る。
シャワー越しのキス。
可児は手探り状態で、新鮮ですらあったのに、一線を越えた夜は、あんなにも啼かされた。
頭の中が、可児でいっぱい。
「どうしちゃったんだよ、俺。藍ちゃんのときは、こんなことなかったのに」
遊命は、頭の中のしつこい渦を振り払うように、ワシワシと頭を濯いだ。
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