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夏の章三 夏ぐれ
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可児に言われた通り、トイレのドアを開ける。遊命は不快を露にした。
「座れるか?」
可児が訊くと、遊命は小さく頷いた。
「……何か、くるくるしてきた」
「暫く籠ってたらえぇわ。俺は後片してくるから」
遊命を便座に座らせると、可児はトイレから出ていった。
遊命は溜め息と共に身体の力を抜き、流れのままに排泄した。
「はぁ……」
下腹部はまだ鈍い。
これで終わりそうにない予感がして、また溜め息が出た。
トイレの中は暑く、汗が止めどなく流れる。
Tシャツで拭うが、そのTシャツも先のバスルームで濡れていた。
仕方なくトイレットペーパーで拭いていると、外で可児が動き回っている音が耳に入ってきた。
水を流す音。ドアを閉める音。階段を登り降りする音。
忙しなく後片付けをしている姿が浮かんだ。
その間に再度渋りだし、排泄を余儀なくされたが、破傷を恐れて息むことができずにいた。
「……う~、ぃたた」
何やってんだろ、俺。と、溜め息が繰り返される。
感染したかも知れない、という現実味のない恐怖より、脱力感の方が大きい。
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