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夏の章三 夏ぐれ
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「……おとん、どしたん?」
「話があって来てん」
「話って……」
その時、父親の後ろから遠慮がちに姿を現した青年と目が合った。
青年は、会釈をすると、可児から視線を外した。
ほっそりとした身体つきに、織り目正しい無地の開襟シャツとグレーのスラックス。
地味な第一印象だったが、野暮ったい感じはない。
可児の胸中に察するものがあった。
間違いなく父親が、今付き合っている男だ。
この手のタイプの男を、汚すのが好きなのだ。
「……あの」
青年が口を開きかけた時だった。
玄関のドアが開き、うわっと驚きの声と共に、一人の女性が入ってきた。
「何や、玄関先でわらわらと」
母親の日出子だった。
彼女は玄関に入るなり、
「あなたが長谷川さん? 可児から話は聞いてます。こんなところで立ち話も何やから、中入って」
と、青年を促した。
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