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当たり前から逃げた瞬間 雪side
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「はぁ…はぁ、はぁ」
ぼくは逃げた。とにかく逃げた。どこまで、いつまで逃げれるかわからないけれど。でもいつの間にか疲れきって足は止まっちゃった。
「どこに行こう…」
逃げたあとのこと、考えてなかった…。家に帰っても殴られるだけだし、学校にいってないから友達もいないし…。
グゥゥ…
お腹すいた。
「ぼく、死ぬのかな…」
こんな道端で死にたくないな…。あっ、そうだ!お父さんとお母さんが一度だけ一緒に連れて行ってくれた、あの公園!あそこに行こう!死んじゃうなら、場所くらい選んでもいいよね?
「確かこっち…」
公園に行っている途中で何人かの人にすれ違った。その人達に助けを求めてもよかったんだ。でもその時ぼくはそんなこと思いつきもしなかった。
「ここだ…」
この公園にはブランコや滑り台はないけど、一つだけあるベンチでお父さんとお母さんとお話をしたんだ!お父さんの仕事の話とか、お母さんの仕事の話とか。帰ったらまた殴られちゃったけど、楽しかった。幸せだったんだよ?
「あれ?」
誰かがいる。ベンチの先の柵のところに立ってる。ぼくはその人のところに歩いていった。なんだかその人の近くにいきたくて。
「しにたいな…」
すごく小さい声だったけど、そう聞こえた。学校には行ってないけど、言葉の意味くらいはわかる。
「だめだよ!!」
ぼくはその人に必死に抱きついて、その人を止めようとした。
「!!え!?」
目があったその人は、すごくびっくりした顔でぼくのことを見てた。
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