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I
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「ねぇねぇ!君、名前は?」
高校の入学式。
まあまあな進学校であるこの学校でも、こんなナンパみたいなことをする奴がいるんだなぁ、なんて呑気に思う。
もしかして相手が超絶美人とか?
「だから!君だってば」
不意に肩を掴まれびっくりして横を見ると、……いわゆる、ガテン系イケメン?がいた。
「…え?」
「俺、隣の席の仁科蒼太っていうんだ。君の名前は?仲良くなりたいんだけど……!」
惚れ惚れするくらいのイケメンなのに、この残念感。
でも、そのキラキラした目と目があった時、何かゾワっとした。すっごく嫌な予感。
______どこか、自分が自分でいられなくなるような……。
そう思ったら、防衛本能から、言葉がポロッと出て来た。
「そうか、でも生憎だけど僕は君みたいなタイプ、嫌いなんだよね。他当たって」
……うん。自分でもこれは酷い。
流石に言い過ぎだなって思って、少し様子を伺う。
ナンパ野郎____仁科蒼太、だっけ____は、思案顔して下を向いていて、どう思っているかよくわからなかった。
______まぁ、これでもう関わらずにいられるだろう。
そう思ったのもつかの間。
仁科は素敵な笑顔を浮かべて顔を勢いよくあげる。
「俺みたいなタイプが嫌いなんだよね?別に俺本人がまだ嫌いってわけじゃないんでしょ!?」
「え、いや、嫌いみたいなもん……」
「まだ決まってないよね」
だったら、と本当に厄介なくらいキラキラした目をさらに輝かせて、顔いっぱいにそりゃあ素敵な笑顔を浮かべてこちらへ迫る。近い近い!
「なら、俺みたいなタイプは嫌いでも、俺のことは好きって言われるように頑張るからさ!よろしくね!」
な、なんつーポジティブ……。
「が、頑張れ……」
なぜか応援する僕。意味わからん。
「で、君の名前!まだ聞いてないよ」
凄い勢いで言われて完全に圧倒されている僕はついに折れて押し出されるように声を発する。
「す、須川、日向、です……」
「ひなた!ひなちゃんね!よろしく!!俺のことは蒼太って呼んでね」
いや、おかしいだろ!
とまあ、そんな本音はすぐには出てこないわけでして。
あー、嫌な予感、的中。
高校入学早々、厄介な奴に捕まりました。
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