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劇場愛歌 25
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uz side
午後6時…
その日の帰り、俺は心の中にモヤモヤした感情を
抱き抱えながら下校していた。
俺はレトルトを護れないのか。
レトルトは俺から離れていってしまうんじゃないか。
あんなに痣を沢山作って、ボロボロの身体で泣いていた。
それなのに俺は友人の言葉一言でレトルトを助けるという選択肢を捨て、逃げを選んだ。
その時に1度だけレトルトと目が合って、
泣きわめきながらこちらに手を差し伸べていた。
そんな手も不良グループの奴らに強く踏み殺されて
しまった時の、あの声と顔が頭から離れない。
「……あー!!!クソッ!!!」
俺の腹を思い切りぶん殴る。
想像以上に痛くて、その場に座り込む。
「ままぁ、あのおにぃちゃんどうしたの?」
「…。見ちゃいけませんよ。」
なんて、漫画みたいな親子の会話が俺の耳の中に
入り込んでくる。
痛い。
恥ずかしい。
一層の事死にたい。
けど、
レトルトは死ねずに
顔やら腹やら足やらを蹴られ殴られ、
痛さと羞恥で訴えなざらも
やられ続けていたんだ。
観衆の冷たい目の中で。
そう思うと、またレトルトを助けてやれなかった
という自分への殺意がこみ上げてくる。
俺はレトルトを助けてあげられなかった自分への
怒りを、まだとても痛い腹にもう1度強くぶつけた。
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