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劇場愛歌 35
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rt side
「くんな!!来ないで言うとるやんか!!」
キヨくんに強風を喰らわしてみるけど、
キヨくんはめげずに俺の方まできた。
「…キヨくん、酷いよ。」
「レトさん、聞いて?
俺ね、幼い頃からずっとレトさんが好きだったんだ。でもそんな思いも虚しくて、ずっとレトさんに会えなかったからもう忘れかけてた。
…そんな時に出会えたの、俺の大切な人に。」
こんなタイミングにこんな告白、
気持ち悪すぎるよね。
キヨくんはそう言って顔に苦笑いを浮かべる。
なに?なに?
なんか始まってん?
辺りをキョロキョロ見渡しても、
カメラも小型マイクもない。
じゃ、これは真剣な告白になるんや。
「だからレトさん。俺みたいに求め方は違うけど必ずレトさんを必要としている人はいるんだよ。だから、帰ってきて?」
キヨくんが俺の手を強く掴む。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
嫌だ!!!!
俺は、キヨくんの手を叩いて
振りほどしてしまった。
「あ…ごめん…。…やっぱ俺は最低なんや。」
『この世にいらない存在なんだ。』
________ッ!!
今はいないはずの、あいつの声が俺と重なる。
…そっか。いらないんやなぁ、俺。
そう考えると何故か無性に死にたくなってきて、
キヨくんに最後の言葉を告げる。
「ありがとう キヨくん。
俺も愛してた。みんなを愛してた。
……フジくん家で遊んだ時は、ベッドの下のエッチな本とか探し当ててめっちゃ笑ったよね。あーゆうこが好みやったんやねぇ。
ヒラくんと喋った時もほんとに面白かった。ヒラくんとキヨくんの喧嘩はビックリしちゃったけど、うっしーのげんこつ1つで仲直りするなんて思いもしなかったよ!w
本当に幸せだった。
楽しい時をありがとう。
またね。」
俺は宙で風と一体化する感覚を感じていた。
「レトさん!!!」
小さくキヨくんの声が聞こえたけど、
「まーだだよ。」
そっと目を閉じ、考えるのをやめた。
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