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劇場愛歌 37
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「…おい。」
後ろから、誰かに話しかけられる。
もう誰かは分かってる。
わかってるよ。
「…ね、俺。」
うっしー達は俺が二人いることにびっくりしてる。
そりゃな…。ちゃんと伝えてなかったもん。
俺はもう1人の俺の方に駆け寄り、
笑いながら
俺である男の首を強く締めた。
「…これでええんやろな」
勿論、泣きそうで泣きそうで仕方ない。
泣きそうになる度に、
段々手の締めが強くなっていく。
俺が死ねばええんや。
俺の憎しみである、
お前が死ねばええんや。
「…ぐ、な…ッぜや、!」
男は必死に振りほどこうとする。
俺は少しだけ手を緩めて、
真実を伝える。
「あのな、俺。お前と会う度、お前が苦しんでんの知ってたん。
所詮お前は俺の憎しみで出来た幻やもんな。
………俺から憎しみという存在が消えたら生きていく価値がなくなるんや。」
「や、…ッめろ!!」
「そんなんでもさ、お前は自分の命を削りながらも俺に幸せになれるチャンスをくれたよな。
………本当に嬉しかったで。
だから…今はゆっくり休んでな。」
俺は首を絞めるのを止め、俺である"幻"に
抱きついた。
「……、帰らせてもらうぞ。」
男の身体が光り出す。
これは…憎しみの光なんかやない。
世界を愛した人が出せる光なんやと思う
「…また死のうなんて思ってみろ。
俺の手で殺してやる。」
小さくなった光が俺の体に入ってくる。
「…へへ!お前もやで、俺!」
"俺"は泣きながら微笑んでいた。
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