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プロローグ
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【カイside】
昔から人に流されやすかった。頼まれたことは断れない。人との関係に波風を立てたくないから自分が常に一歩下がっている。
そんな性がいつか仇になるとはこの時の愚かな自分が分かる筈も無かった。
一年程前だっただろうか、友人が起業したいと言って借金をした。
その時に「連帯保証人になってくれないか」と頼まれた。
割と長い付き合いで、信頼できる友人だった。
つい昨日の事だった。その友人が蒸発したのは。
何回も起業するが結局成功せず、借金は返せず増えるばかりで、とうとう蒸発してしまった。残った借金は僕が肩代わりすることになり、今に至る。
借金の総額は一億円。
これからの僕の生活はどうなってしまうのだろうか。
【???side】
冬の冷たい雨に濡れながら路地裏で男は一人佇んでいた。
男の周りには数人の死体が転がっていた。若い男、初老の男、女など様々だが、全ての死体は喉元を切り裂かれ絶命したと思われる無惨な姿だ。
男が派手に浴びた返り血が雨によって流されていくのを見ていると、携帯の着信音が響いた。見慣れた発信者の名前が見え、迷わず出る。
聞き慣れた言葉が携帯越しに聞こえる。
「...あぁ、うん、僕だけど。.....あぁ、仕事なら終わったよ。うん。迎えお願い。え、....あー、血いっぱい出ちゃったから、片付けお願いね」
予想以上に汚してしまった現場を見ながら頼むと、携帯越しに怒鳴り声が聞こえる。またお前は!!なんて聞き飽きた怒鳴り声を無視して通話を切る。
通話を切り、静寂を取り戻した路地裏は何故だか少し寂しい気がした。
「寒いなぁ」
何気なく呟きながら、壁にもたれ掛かって座りながら迎えを待つ。
帰ったらきっとまた総帥に怒られるだろう。
その時は反省した振りでもしておとなしく怒られよう。仕事はきっちりやっているし、きっと大丈夫だ。
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